とりあえず萌えたものについて書いてこうかな
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金田一シリーズ「黒猫亭事件」を下敷きにした逆裁4のダブルパロディです・・・・。
ていうか、保存すると自動的に話がアップされちゃうのがこのブログの難点TT
というわけで、今回も現在途中までです~
「あのぅ・・・・・なんの御用でしょうか・・・・・。」
角谷美根子は栗色の髪の毛をショートカットにした、活発そうな少女だった。アーモンド形の目をくるくるさせて、ちょっと口を尖らせている。
微かにつやめいているその唇にはルージュが引かれているらしい。あたしが彼女くらいの歳の頃には、化粧なんてこれっぽっちも興味がなかったわよね、と彼女の様子を眺めながら茜は溜息を付く。
お小遣いのほとんどを化学実験用の器具につぎ込んでいたし。
「たいした用じゃないんだけどね。」
職員室の隅にあるついたてと、その奥の二つ向かい合って並んだソファーの真正面に腰を下ろした響也がにっこりと笑う。それに、「あ!」と美根子が目を見開いた。
「もしかして・・・・・ガリューウエーブのガリュー!?」
嘘!?信じられない!!
ぱあっと色の白い頬に赤味が差し、彼女が両手を握り締める。その様子に、「あらら、ばれちゃったか。」なんて響也が馴れた仕草で髪を掻きあげた。
「オドロキさん、負けてますね。」
どういうわけか検事と一緒に聞き込みをする羽目になった法介は、彼の隣に腰を下ろしながら、横に立って呟くみぬきに目を半眼にする。
(俺も何か人に誇れる特技を持つべきかな・・・・。)
「そのガリューさんが私になんの御用なんですか!?」
すっかり興奮し、嬉しそうに身を乗り出す美根子をちらと見遣り、響也に代わって、彼の斜め後ろに立っていた茜が口を開いた。
「あなたがアルバイトをしていた、喫茶黒猫で事件があったのは知ってるかしら?」
低く切り出された彼女の言葉に、美根子はちょっと顔をこわばらせ、「はい。」と短く答えた。
「ガリューウエーブの元ボーカルが何者か、あなたは知ってるわよね?」
「はい・・・・現役の検事さんだと。」
「そう。私は刑事の宝月。こっちはなんでかしらないけど付いてきた、何でも相談所の魔術師みぬきちゃんと、所員です。」
「は?」
なんでも相談所?
「所員ってなんですか、所員って!!」
それに相談所じゃないですからっ!
思わず目をむく法介の突込みを完全無視する茜。隣では響也が堪えきれない笑いを漏らしている。
そんな彼らの様子に、眉間に皺を寄せてクビを傾げていた美根子に、みぬきが「最近弁護始めました。」といそいそと「成歩堂なんでも事務所」のチラシを差し出した。
「こちらの王泥喜さんは、こう見えてもちょっとした弁護士なんですよ!」
「あのね、みぬきちゃん・・・・ちょっとしたってどういうことかな・・・・?」
「とまあ、検事と弁護士なんて、ちょっとトリッキーな組み合わせだけどさ、僕達は真実を追い求めてるっていう点では運命共同体みたいなものでね。」
真相究明の為に、話を聞かせてもらえないかな?
にっこり笑う響也に、この面子の顔をかわるがわる眺めていた美根子が「私でお役に立てれば。」と上目遣いで頷いた。
刑事に検事に弁護士に魔術師。
なんだか訳の分からない取り合わせに「話を聞かせてくれ」と詰め寄られて、美根子は微かに動揺しながらも、しっかりした表情で響也を見据えた。
叉火夫妻の事
「マスターと翔子さんはちょっと歳の差がありますが、普通の夫婦でしたよ。」
二人の仲が悪かったかどうか、という法介の質問に、美根子はそう答えるとちょっと目を伏せた。
「仲が悪い、というわけじゃなくて・・・・なんていうか、良くもなく悪くもない、という感じでしょうか。」
眉を寄せる彼女に、「具体的に何か・・・そう、言い争ってるような雰囲気とかなかったかい?」穏やかな口調で響也が訊ねる。
「派手な喧嘩のようなものはありませんでしたけど・・・・ただ、お二人の間には複雑な事情があったようです。」
「事情?」
眉を寄せる茜に、美根子は素直に頷いた。
「マスター、どうやら浮気をしてたらしんです。」
その台詞に、聞き入っていた一同の空気が鋭くなった。
「そのことを、翔子さんが随分気にしていて・・・・そのことで言争いというか、二人の間に亀裂のようなものがあったのかもしれません。」
短いスカートの上で手を握り締める美根子に、響也が呻くように呟いた。
「浮気ねぇ・・・・・僕には縁遠い世界の言葉だな。」
「あれ?でもガリュウ検事、浮気した恋人を極刑にまで追い詰める女検事の歌、歌ってませんでした?」
「ああ、『JUDGE☆アタシノ法廷』ね。でもあれはフィクションだから。」
「検事はどの女の子にも本気じゃないですからね。」
にっこり笑ってかりんとうを口に放る茜の、挑発的な台詞。それに振り返った響也が苦い顔で彼女を睨んだ。
「どの子にも本気、って言ってくれないかな、刑事クン?」
「さっき歳の差、といいましたけど、いくつくらい違うんですか?翔子さんと旅人さん。」
話が横道に逸れそうなのを、法介が軌道修正する。暫く考え込み、美根子は、「マスターは確か、この間で45になったって言ってました。翔子さんはまだ29歳です。」
17歳差に、みぬきが目を見張り「どこで知り合うんでしょうね、オドロキさん。」と法介をまじまじと見る。
「まあ・・・・みぬきちゃの通う中学ではありえないかな?」
旅人は中肉中背の凡庸な男で、いつもにこにこ笑い、おっとりした感じの男だった。コーヒーを淹れるのが趣味で、それを学んでここまで来たのだと、彼は美根子に語っていた。
軽食や何かは奥さんである翔子さんが作っていて、彼女は驚いたことに、長い黒髪を綺麗に纏め上げて、いつも素敵な着物を着ていたという。
「着物、ですか・・・・・。」
「大学で古典を専攻していたそうで、江戸時代に造形が深かったそうです。」
一種のコスプレだろうか、と法介は頭の片隅でどうでも良いことを考える。
「その二人の仲は特別に悪いものでもなかった・・・・が、マスターである旅人が浮気をしていた。」
響也が何か考え込みながら、歌うようにそう告げると、にっこり笑って美根子を見詰める。
「それで、その浮気って言うのは?」
旅人の浮気
「一度私、翔子さんに言われて旅人さんの後をつけていったことがあるんです。」
やや早口に切り出した彼女の言葉に、「美根子さんが!?」とみぬきが目を丸くした。
「はい。・・・・翔子さん、だいぶ頭に来ていたようで。」
お客さんの引けた、日曜日の午後5時頃。今日はこの時間で上がりだった美根子を捕まえて、翔子は「ちょっとだけ残業できないかしら?」とすまなさそうに切り出したのだ。
「何時頃のことです?」
「あれは・・・・クリスマス付近だったと思います。」
つけていった道が暗く、空気が冷えていたのと、街路樹が綺麗にイルミネーションに彩られていたのを、美根子は覚えていた。
「翔子さんが仕事中に外出することが割と多くて。でも最近、何故か彼女が外出した後、マスターが勝手に店を閉めて出かけてしまうことが多くなったんです。」
その度に、旅人は「ちゃんとみねちゃんの今日のシフト分のお給料は払うから。」と言っていたという。
でも、そんな事が度重なると、美根子も不信に思い出し、「働いてない分のお給料は要らない」と一度翔子に切り出したことがあったのだ。
「すると翔子さん、急に顔色が変わって・・・・それで、何か思い当たったらしく、私の手をとって、今度そんな事があったら、みねちゃんがあの人の後をつけてくれないかしら?って。」
それでその日も出かける用事のあった翔子が、『残業』の依頼を美根子にしたという。
「それで、君は旅人さんの後をつけて行った。」
響也の視線が鋭くなる。ちらりと瞳の奥に火が灯った。
「それで、君は見たのかい?決定的な場面をさ。」
身を乗り出す響也と、それに吊られて、視線を注ぐ法介を前に、美根子はこっくりと頷いた。
「その日も、マスターは勝手に店を閉めると言い出して、私に一言謝ってから店を閉めました。マスターに挨拶をしてから、喫茶店の横にある入り口の脇に隠れて、暫く自宅の玄関を伺ってたんです。
そうしたら、案の定、マスターが出てくるではないか。
「それで私、彼の後を付いていったんです。」
タクシーに乗るかもしれないから、と美根子は翔子から3万ほどの現金を持たされていた。何処に行くのか突き止めてこいという意気込みが、それでも良く分かる。
そんな翔子の思惑とは裏腹に、マスターはのんびりした足取りで大通りまで出ると、地下鉄に乗る。どこまでいくのか分からないため、彼女は一日フリーパスを買って、慌てて後を追った。
見失うことはなかった。
彼は繁華街に近い駅で降りると、地下鉄の駅の改札で一人の女性に親しげに歩み寄って入ったのだ。
「髪は翔子さんとは正反対の茶髪でウエーブが掛かってました。来ているものも、短めのコートに、ヒールの高いロングブーツ。高そうな黒のマフラーを首に巻いて・・・・とにかく、和服が好きな翔子さんとは対照的でした。」
赤いルージュがきらきらしていたのを、美根子は覚えていた。
そのつややかさと色っぽさに惹かれて似たようなものを買ってしまったのだが、まあ、それは言わなくても良いことである。
「ナルホド・・・・それがマスターの浮気相手候補、ということですね。」
うーむ、と唸り声を上げて腕組みをする法介の隣で、響也がぼんやりと視線を宙に彷徨わせる。そこから何かが降りてくるのを待つように指を鳴らしながら、ふいに彼は「翔子さんの、たびたびの外出の理由って言うのはなんなのかな?」と真顔で尋ねた。
「え!?」
それに、美根子が明らかに動揺した。そわそわと、自分の短いスカートの裾を引っ張ったり、耳にちらりと見えるピアスを撫でたりしている。
『みぬく』までもない動揺に法介とみぬきが顔を見合わせた。
「それについて、君はなにか知っているようだね?」
問い詰めるように、響也が低く切り出し、視線を逸らす美根子に、法介が身を乗り出した。
「美根子さん、知ってることがあるのなら、話して下さい!」
黒猫で事件が起こっているんです!
何が関係してくるか分からない。固唾を呑む一堂の前で、「翔子さんは・・・・。」と美根子がぽつりと漏らした。
集中力が切れたーTT
ので、ちょっと休憩
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