忍者ブログ
とりあえず萌えたものについて書いてこうかな
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。





 というわけで、金田一くんの黒猫亭事件を下敷きにした響茜の続き☆














 事件発生の報告が、110番受理台から地域の所轄に入ったとき、宝月茜は刑事課のデスクについたまま、ぼうっとパソコンの画面を眺めていた。
 夜勤で署に留め置かれている内に、最近起きた事件の整理をしようとしていたのだが、茜は茜なりに、カッコイイ事件のタイトルをつけようとして苦心し、その仕事はまったくと言っていいほど進んでいなかった。
(良く考えたら、あのじゃらじゃらお兄さん、曲のタイトルとか一々考えてるのよね・・・・・。)
 これほど事件に名前をつけるのが大変だとは思っていなかった茜は、机に頬をつけるように、ばったりと倒れこんだ。
(ま、もっとも、それがセンスが良いものかと言われるとどうかと思うけどね・・・・・。)
 あーでもない、こーでもない。

 そうやって考え事をしている時に、突然スピーカーから事件発生の報告が流れてきたのである。

 弾かれたようにデスクから立ち上がり、周りに居た刑事とともに署を飛び出す。タクシーで駆けつけた現場には、数台のパトカーとこのあたりの巡回を担当している巡査、そして。

「あ、茜さん!」
「こんばんは・・・・です。」
「・・・・・・・・・・・。」

 赤いスーツの弁護士の青年と、ひらひらしたマントが可愛らしい魔術師の少女だった。




 だんまりを決め込む容疑者から解放されて、牙琉響也はそのまま事件のあった現場へとやってきた。
 木々がすっかり葉を落とした、二月の空はすっきりと晴れて乾いていて、そして冷たい。吹いてくる空っ風にはなんの温もりもなく、太陽の光の温もりが辛うじて肌を温めるだけである。
 黒の皮手袋にブーツ、黒のコートといういでたちで事件のあった喫茶店『黒猫』へと足を運んできた響也は、死体が発見された庭の隅にうずくまる、ベージュのコートを着た女性を見つけた。
 やれやれ、また足跡の検出でもしているのだろうか。
「被害者の身元は割れたのかな?」
 声をかけると、振り向きもせず「まだです。」という不機嫌な声が答える。
「損傷が酷いってことだけど・・・・・。」
 庭には、隣の家の雑木林のだろうか、落ち葉が結構落ちていて、響也が歩くたびにかさかさと音を立てる。
 穴の脇にしゃがんでいた女性―――茜は、ゆっくり立ち上がると、ふてくされたような顔で「ご苦労様です。」と答えた。
「ごくろーさま。」
 彼女の隣に立ち、穴の中を覗き込む。
「どんな感じだった?」
 振り返る響也の笑顔は、死体が発見された現場にはおおよそ似つかわしくないほどすがすがしかった。だが、そんなものにぶれる茜ではない。ますます眉間に皺を寄せて、「酷いものでした。」と溜息混じりに答えた。


 あの晩。

 死体を発見した法介が見たのは、うなだれたように穴の中でしゃがみ込んでいる死体だった。膝を折るようにして埋まっていたそれは、全裸で髪はほとんど抜け落ち、後頭部にはばっくりと殴られたような痕が赤々と残っていた。辛うじて見えた胸のふくらみで女性だと分かるくらいで、あとはもう、ただの物言わぬ人形でしかない。。
 うなだれているその、死体の首は、到着した茜たち刑事が動かし、身元が分からないか、顔を確かめようとしたのだが。

「ほとんどは腐敗して、歯と骨がむき出し。顔全体に虫が涌いていて・・・・・思い出すだけで吐き気がします。」

 仏頂面で言われたそれに、「女の子に言わせる台詞じゃなかったね。」と響也が前髪を弄りながら苦々しく答えた。
「まあ・・・・そういう仕事ですから。」
 目を逸らしたまま、溜息と共に言われた台詞に、響也は「身元を割り出せるようなものはなかったのかい?」と彼女が丹念に調べていたあたりを見渡した。
「ここ数日、天気が良かった上に、この落ち葉で足跡の類は見つかってません。あと、被害者は後頭部に鋭い一撃を喰らっています。」
 腕を組んだ茜が、開け放してある家の、吐き出し窓をみやった。
「部屋の中の捜査はまだ途中ですが、その一撃を受けたと思しき血痕が発見されました。」
「見ても良い?」
「どうぞ。」
 だが、そう訊いた割には動こうとしない検事に、茜は眉をひそめた。そんな、にこにこする響也が、自分に案内してもらおうという算段なのだと気付き、茜はおもいっきり、これみよがしに、溜息を付いた。
「どーぞ。こっちです。」
 靴を脱いでリビングへと上がる茜の後から、響也が長身をかがめて続く。
「第一発見者・・・・というか、庭を掘ってたあの男だけどね。」
「嶋揖屋(しまいや)大地、ですか?」
「そう。ずっと黙秘しっぱなしだよ。」
 何を訊いてもうんともすんともいわない。
「警察の取調べでもそうでした。」
 淡々と告げる茜に続いて廊下に出て、突き当りの和室の襖を開ける。
「何者なんだろうねぇ・・・・彼。」
「名前と年齢を言ったっきり、完全黙秘ですから。でも、通報者の王泥喜法介の証言が正しければ、彼はあそこに死体が埋まっているのを知っていたことになります。」
 そして、と茜は言葉を切り、十畳の和室の中央に立つと、床の間の横の天袋を指差した。
「あそこから、血の付いた灰皿が発見されました。」
「容疑者の指紋つき、でね。」
「はい。」







 眠いので続く~(笑)


 やっと二人の話しになってきたけど・・・・・全然甘くない(大笑)甘くしたいなぁ・・・・・。



PR
32  31  30  29  28  27  26  25  24  23  22 
忍者ブログ [PR]