とりあえず萌えたものについて書いてこうかな
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というわけで、下の記事に書いたとおり、銀妙押しの人間が解釈した「師匠編」の、連載中だから出来ちゃう捏造SSを載せておきます(笑)
後で読んだら爆笑必死な痛いものだろうなぁ・・・・・(遠い眼)
汚ぇ手でその女に触るんじゃねぇ
押し殺したように、低く低く吐き捨てられたそのセリフには、血のにじむような怒りが滲んでいた。
「新ちゃんと神楽ちゃん、少しは強くなりましたか?」
唐突に切り出されて、志村家の縁側でスイカを食べていた銀時は「は?」と顔をあげた。蚊取り線香の煙の向こうで、お妙が柔らかな眼差しで、庭木に張り付いていたカブトムシを取ろうとしている神楽と新八を見ている。
「さあねぇ・・・・・」
スイカは皮の方は甘くない。きゅうりみたいな味がする、とぶちぶち文句を言い、縁側に置かれているお盆の上のスイカの、甘い、頭の部分だけ折り取って食べようとする男の手を、お妙がねじり上げた。
そう。
ねじって、ひねりあげた、のだ。
「少しは強くなりましたか?」
「痛い痛い痛い痛い!!!やめて、おねーさんっ!!ぐきってなるから!ぐきってなったら、俺木刀もてねぇし!!!」
「あら、その腰に刺さってるのは木刀なんですね?てっきりシイタケ栽培セットかとおもってました」
「どこの世界にシイタケ栽培セットを腰に差して生活してる侍がいるんだよ!?」
「銀さんの木刀とシイタケ栽培セットだと、断然シイタケ栽培セットの方が世のため人のためになってます」
「畜生!否定できない!!!!」
一瞬、無限にシイタケの生える己の木刀の姿を想像し、食うに困らないな、と本気でうらやましく思った自分を呪いながら、銀時は己の手を取り返すと、きっとお妙を睨みつけた。
「てゆっか、お前のが強くなってない!?」
「そうですか?」
「とても女とは思えないんですけど!馬鹿力なんですけどっ!!折れそうなんですけどっっ!!!」
「仕方ないじゃありませんか。私は新ちゃんと神楽ちゃんのインストラクターなんですから。」
にっこり笑うお妙に、「インストラクターじゃなくて、トラクターだろお前の場合」とぼそりと呟く。
「な に か い い ま し た か ?」
「いってませんーっ!!ひとっことも口をきいてません―っっ!!!」
「そういう銀さんだって、一応、マダオのインストラクターでしょう?」
ニッコリ笑って言われるが、銀時はそれに首をかしげた。
「いつから俺は長谷川さんのインストラクターになったんだよ?」
「違いますよ、銀さん」
貴方を見習えばマダオになれる、だからマダオのインストラクター。
ぐうの音も出ない言い様に、銀時は「ああそうかよ!?」と逆切れじみて怒鳴った。
「だったらお前はかわいそうな卵のインストラクターだね!おまえにかかればどんな卵もかわいそうになるもんね!ぜひどうやったらそうなるのか教えてもらいた」
凄い音がして、銀時が、縁側から家の奥まで吹っ飛んだ。
「姉御の正拳突きはプロ級ネ」
ほれぼれした神楽のセリフに被るように、新八が「銀さーん」と吹っ飛んだ男に声をかける。
「どうしたらそんな風に綺麗に吹っ飛べるのか、僕にコーチしてくれませんかねー」
そんな新八の目は、呆れたように半眼だった。
「修行なんてめんどくせぇし、必殺技とか持つのもだるいし、だいたいさぁ、人の強さなんてもんは剣術うんぬんで推し量れるもんじゃないっしょ?」
言ってることはわりといいことなのに、顔の形が変形してる人間が言うのだから説得力がない。
先ほどの縁側で、月を見上げてそう言う銀時に、お酌をしながら、お妙は溜息をついた。
「そうかもしれませんけど、最終的に己の身を守れるものの手段として、剣術やなんかがあるんじゃないんですか?」
「剣の腕が強くたって、道を踏み誤れば危険なだけだ」
「・・・・・・・・・・」
「違うか?」
胡乱な眼差しで見られて、お妙は溜息をついた。
「まあ、そうかもしれませんね」
「真に強い人間ってのはさ、どんなことがあっても、何があっても折れない心を持ってる人間だよ」
逆境でも、ひとりになっても、自分自身が傷ついても。
「そう言う意味では新八も神楽も強さを持ってる。」
「・・・・・・・・・・銀さんのおかげかしら。」
珍しく褒められて、銀時はかすかに目を見開く。月を見上げるお妙の横顔が、すぐそばにあった。
「侍なんて滅んだ世の中に、道場なんか残して、借金ばっかりで苦労してって、さんざんぐだぐだ言ってた新ちゃんが、強くなりたいって言い出して。それって、一応は銀さんのお陰なんですよね、きっと」
「・・・・・・・・・・・・・・・なんか・・・・・素直にほめられるとキモチワルイんですけど」
「殺しますよ?」
「すいません、殺さないでください」
引きつった笑顔を浮かべる銀時に、お妙はつと視線を合わせるとふわりと笑った。
春の夜の、桜のような明るく優しい笑みだった。
「神楽ちゃんが自分の中にあるあらがえないものと戦おうと決めたのだって、銀さんのおかげだし。二人の師匠みたいになってますね」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・そんな大層なもんじゃねーよ」
盃に視線を落とし、銀時は己の脳裏をかすめた「師匠」の存在を思い出す。
「どっちかってーと、悪い大人見本だな」
「それも否定しませんけど」
「しろよ、そこは、否定!」
ちょっとは殊勝に言ったのに、空気読めよ!
「はいはい。」
笑って言うと、お妙は紺色の空に浮かぶ、真白い月を見上げた。
「強さって、あの月に似てると思いません?」
「あ?」
何をロマンチックなこといってんですかねぇ、と銀時は背筋がかゆくなりながらお妙を見た。
だが、彼女はそんな銀時を無視して、続けた。
「ひとりぼっちで、はかなくて、でもこうやって夜の中を泳ぐ人を照らして護ってる。」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「太陽のように、強大な力を持ってなくて、どうしたってそんな強さは持てないのに、それでも懸命に己の大事なものを護っている。」
綺麗じゃないですか。潔くて。
「・・・・・・・・・・そーだな」
「太陽のように、ぎらぎら自己主張してないところもいいですね。あっさりめのキャラクターで。しいて言うならナンバー2?」
「なんか、キャラ評価になってるんですケド、おねーさん?」
「それが、強さだと思いませんか?」
不意に銀時を見たお妙が笑う。
「大事なものを抱えて、でもそれをおおっぴらに見せてなくて。そして、精一杯護ろうともがく」
そして。
告げられた言葉に、ふっと小さく笑って、銀時も空を見上げた。静かに光る真白い月に、しばし魅入った。
「汚ねぇ手でその女に触るんじゃねぇ」
綺麗な強さだと、彼女は言った。いつの間にか得た、大事なものを、己の命を賭けてでも護ろうとそういう強さは、まるで月のようだと。
同感だ。
孤独に追い込み、頼れるものをなくし、己を捨てさせ忠誠を誓い、尽くして戦って、戦って、戦って。
周りを焼き尽くす太陽のごとき強さは何も生まない。
壊すだと?
自分の弟子を?
冗談じゃない。
そいつの強さは、そいつの価値は、テメェのような野郎が触れていいもんじゃねぇ。
そして、その「強さ」はテメェがつくりだしたものでもねぇ。
(そうだよな。)
彼女は、言った。
そして、そんな月だから、周りには自然と星があるのだと。
そんなこともわからねぇ野郎に、師匠だなんて名乗らせない。
真剣の柄を、強く強く握り締めて、銀時は、お妙の言った「綺麗な強さ」を守るべく、傷ついた身体を前に押しだす。
脳裏を、たった一人の師匠の姿がよぎる。
許さねぇ。
握り締めた刃を、男は力一杯振り下ろした。
すっごい無理やり☆
謝ります・・・・・すいませんでした orz
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